■しょうぶ学園展
期間|2024年4月3日(水)~9日(火)
時間|午前10時~午後8時
場所|〔作品展示〕本館B1、本館1階、本館2階、本館3階、本館4階、本館5階
〔クラフト商品販売〕本館B1イベントスペース
「しょうぶ学園展」について
“地域に根差した個性あふれる福祉文化の創造”をコンセプトに、
鹿児島市で創作活動を行う「しょうぶ学園」。
学園創設以来、ものづくりを障害者支援事業の大きな柱としています。
その要となる工房しょうぶでは、アート&クラフトをテーマに、
利用者をサポートするスタッフとのコラボレーションによって
日々ユニークな作品が生まれています。
鹿児島展会期中、本館の各階フロアをしょうぶ学園のアート作品が彩ります。
自由で、のびのびとした何ものにもとらわれない作り手たちの表現は、
新鮮な驚きと感動を与えてくれます。
〔作品展示〕本館B1、本館1階、本館2階、本館3階、本館4階、本館5階
「作家」のご紹介
濱田幹雄
『濱田幹雄』/Mikio Hamada/ 1956-2023
1976年よりしょうぶ学園での生活がはじまる。
1999年〜2008年に刺繍の制作をしていたが、近年は和紙、造形班に所属。
刺繍については、使用する素材にこだわりがあり、納得するまで工房内の素材を探す。
何か訴えたいことがあっても、自発的に訴えることが少なく、黙って作品を眺めて考えている。
刺繍を始めた当初に比べると、だんだん手法が大胆になり、ネットに裂き織り用の裂いた布を通したり、
ロープなどのひもを使ったりと造形的な要素を取り込んで制作していた。
絵画については、躊躇することない線で隙間を埋めてゆく。
補色同士の色違いは、視力が弱く視野狭窄という眼の障害が影響していると思われるが、
相反する色と大胆な筆の運びは力強く動きのある画面を創り出している。2023年没。
野間口桂介
『野間口桂介』/Keisuke Nomaguchi/1976-
自閉症特有の強いこだわりを持つが、素直なやさしい性格である。
1999年から開催されたアウトサイダーアート巡回展(刺繍の展覧会)を機にnui projectのメンバーになる。
当初、布の中央部に○や△の模様を、間隔をあけて刺していたが、
すぐに布全体を埋め尽くすまで刺すことにこだわりを持つようになった。
LLサイズのYシャツは2年近くの年月をへて糸目で埋め尽くされ縮められ表面は凹凸に波打ち
小さい立体的なシャツへと変形する。糸は他の人が使った残糸を拾い集めて使用している。
短い糸を器用に刺し進め結び止める。近年は、細かい網目のチュール生地を細長く切り、
幅2cm、長さ30cmほどの細長い布の刺繍を続けている。
布全体を埋め尽くした時点で作品は完成する。その瞬間にこだわりは消え作品に執着することはない。
不笠武志
『不笠武志』/Takeshi Fugasa /1972-
17歳からしょうぶ学園の生活が始まる。ピンク・ブルーなどの糸を好んで使用する。
作業時間中、窓の外をながめたり、席を立ったりと集中している様ではないが、
糸を刺したり、はさみで切ったり遊びながらの彼独特の制作を展開している。
ゆっくりとしたペースだがいつのまにか糸の塊が布にできている。
傍らには、自分の籠に好きな色の糸を短めに切って、
決して使うことのない糸を山のように入れて置いてある。
藤村直樹
『藤村直樹』/Naoki Fujimura /1955-
1973年開設当初からしょうぶ学園で暮らしている。
nuiに参加した当初、職員が描いた丸・三角・四角の下絵に沿って刺していた。
現在は自分で大きな布を選び、小さい刺繍枠内に収まる丸の下絵を書き、
その中を埋めながら独自の規則性で針を進め、「埋め尽くしたら終わり」と完成を理解し刺している。
自由に選ぶ色使いはメリハリがあり、クレヨンで描いたような童画のイメージを持った作品に仕上がる。
大田智子
『大田智子』/Tomoko Ota/1971-
1990年から1997年までしょうぶ学園で生活していた。
当初はスタッフからチェーンステッチ・サテンステッチ・フレンチナッツの技法を習い、
図案に従い小作品を制作していた。
やがて、スタッフに勧められてベッドカバーサイズの大作に挑むようになる。
図案も構図も考え、3か月ぐらいの期間で完成に至る。
現在は、下書きせず、チェーンステッチやフレンチナッツを針が進むがままに任せ
自由自在に既成のシャツに色とりどりの糸で刺繍をしている。
泰良茂雄
『泰良茂雄』/Shigeo Taira/1969-
日中は、午前中ハウスキーパーの仕事、午後は陶芸班として活動し、
オブジェの制作、器や皿の絵付け作業を行う。
現在はグループホームで生活をしており、自由な時間を使ってスケッチブックに絵を描いている。
野菜、果物、動物、植物と題材は様々だが、その特徴をつかんだシンプルな形状と大胆な構成、
ハッピーな色彩は独創的で、観る者に歓びを与える。
画用紙左端には、日付、曜日、タイトル、そして必ず最後に「100点」と記されており、
私たちはそれを泰良茂雄の「100点絵日記」と呼んでいる。
村田夏子
『村田夏子』/Natsuko Murata /1980-
1999年よりしょうぶ学園のデイセンターを利用する。
現在は、グループホームに入所し新しい生活を開始している。
長い間和紙、造形班にてクレヨンやクーピーを使ってネコ、バス、バナナ、
チョコ、ミカン、いちごなどを描いていた。
Tシャツや布、板、植木鉢などに描くこともあったが、画用紙に描くことが多く、
力強いストロークで色を盛る。
まんべんなく塗って境界線を溶かしながら背景も画用紙の隅々まで塗りきる濃密な世界。
現在は、アムアの森で活動しており、モチーフはゼリーを繰り返し描いている。
もくもくと真剣なまなざしで制作する姿は、迫力もあり可愛さも溢れている。
前野勉
『前野勉』/Tsutomu Maeno/1973-
18才からしょうぶ学園での生活が始まる。
いつもニコニコして穏やかな性格だが頑固に自分のペースを守っている。
1999年よりnui projectに参加。ゆっくり長い時間をかけてひと針、ひと針進んでいく。
紬の残糸や細くすべりの良い糸で、玉止めを作り、その玉どめが抜けたり引っかかったり、
偶然絡むのを楽しんでいるかのように、いつもニコニコしながら刺している。
また、糸を切るときは布に向かってはさみを入れるので、必然的に布も切って穴をあけてしまい、
自然な穴ができあがる。糸同様やわらか味のある布を好んで選ぶ。
出来上がった作品は彼のもつやわらかい雰囲気がそのまま出ている。
石野敬祐
『石野敬祐』/Keisuke Ishino/1987-
コピー用紙、マジック、セロハンテープ。
シンプルな材料で存在感のある紙の立体を作り出す。
高校生の頃から少女型の人形の制作をはじめる。
少女は夏が来ると水着や体操服になり、その後季節のイベントに合わせて、
ハロウィンやサンタの格好に着せ替えられる。
のりしろのない紙の面と面を、セロハンテープでのみ接着し、みるみるうちに紙の立体が生まれる。
約3年前にグループホームに生活の拠点を移してからは、ロボットや文字を制作する事が増え、
最近では、職員や利用者の名前を制作することが多い。
新しい職員が入職すると漢字を確認。今日も楽しい制作ネタを探しているのかもしれない。
森節子
『森節子』/Setsuko Mori/1955-
1973年しょうぶ学園開設当初から生活している。
あらゆることに積極的で、nui工房では、織りや刺繍の制作をし、糸で絵を描くように刺繍をする。
その後、陶芸班での活動を始める。その器用で力強い指先から生まれるオブジェは、
手のひらサイズの小さなものから巨大なものまで様々だが、
縄文時代のようなプリミティブな雰囲気を感じさせるものが多い。
どこからそのインスピレーションは降ってくるのか、練る、削る、彫る、描くといった
止むことのない行為で積もった土の塊たちは、正に彼女自身の強さと優しさのようだ。
坂元郁代
『坂元郁代』/Ikuyo Sakamoto/1953-2012
nui project の最も代表的な作品を生み出したメンバーの一人。
1988年から「縫い」の活動をはじめた。まっすぐに縫うことが苦手であったが、
アトランダムにひと針、ひと針縫い続けていくうちに、
糸と糸の積み重ねで自然と色彩豊かな作品が出来上がる。
色とりどりの糸の塊が布から飛び出してきたように積み重ねた刺しかたが特徴である。
時間の集積による色の絡みは絶妙であり、独創性が強く国内外で広く評価されている。
1973年から約30年間しょうぶ学園で生活する。2012年没。
高田幸恵
『高田幸恵』/Sachie Takada/1976-
1999年デイサービスセンターを利用することがきっかけで刺繍の作業に参加し初めて針を持つ。
はじめは戸惑いがあり職員へ確認をしながら針をすすめていたが、
作品が完成するたびに充足感を感じ自信をもつようになった。
大きな布や着物にも躊躇なく制作をおこなう。
刺繍の技法の使い分けが可能で、刺繍の方法や、デザインについてスタッフに相談し、
制作にはとても意欲的である。
イメージや構図を計画しながらも刺し始めより段々と緻密になる傾向があり、
無心で刺し、布全体を埋めていく。展覧会に出展することを楽しみに制作している。
鵜木二三子
『鵜木二三子』/Fumiko Unoki/1974-
2015年よりしょうぶ学園グループホームに入所。陶芸班と和紙、造形班で制作を行う。
彼女の手から生まれる作品は好きな職員や仲間をかたちにした物が多く、
温めた手紙の様に時々パーソナルなメッセージが書かれていたりもする。
二次元でも三次元でもその全てのヒトには象徴的な大きな二つの目が付いており、
その瞳の引力は視神経より見る者の脳を刺激。
顔を覆う髪の毛や髭はまるで生き物のように流れ続け飲み込まれそうな感覚に陥る。
作品について自ら主張したりはしない二三子さんだけれども、
工房の隅の方で静かにそっと筆を走らせ土を積み重ねる彼女は、深く誰かを想い続けているのか。
マルチアーティストの彼女は2020年から刺繍の制作も始める。
吉井一広
『吉井一広』/Kazuhiro Yoshii/1948-
木工班にて活動。主に器の彫りや漆塗りの補助などを行っている。
2021年、他利用者へ渡す予定だった車の雑誌を見て製作していた器の材を車の形へと彫刻を始める。
好んで彫刻する題材は「バス」が多く、
大胆な彫りの窓やフォルムは歪なはずなのに自然とまとまりのある車へと変化して行く。
迷いのない配色で完成した車たちは彼の優しく、穏やかな性格そのもののように感じる。
米山宣秀
『米山宣秀』/Yoshihide Yoneyama/1975-
普段は、木工班でボタンのカットや器の彫りを担当している。
仕事は細部にこだわり、実に細やか。AKB48のファンで、
チラシに載っているAKB48を見て、木に直接線を描いた。
初めて人物を彫った時は、彫り進めるのに悪戦苦闘しながらも制作中は没頭して
自分だけの世界で淡々と黙々と制作している。
2021年に木工の他の利用者(吉井さん)が始めた車の彫刻の車軸の穴あけを手伝ったことをきっかけに
車の彫刻を始める。好んで彫刻する題材は「職員の車」が多く、
車のサイズ、ライトや車に飾っているものなど細かなディテールから
真面目でまっすぐに制作に向き合う彼のこだわりが感じ取れる。
\4月3日(水)~4月9日(火)/
〔作品展示〕本館B1、本館1階、本館2階、本館3階、本館4階、本館5階
〔クラフト商品販売〕本館B1イベントスペース
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