今回、九州探検隊がやってきたのは
海人(うみんちゅー)の町として知られる糸満市。
沖縄本島の最南端に位置し、古い文化が色濃く残る地域です。
この糸満市に美味しい「豆腐」があると聞きつけた九州探検隊。
「善は急げ。」とばかりに、さっそく沖縄へ飛んでいきました。
沖縄の重要な食文化の一つである豆腐は、
島豆腐、じーまーみ豆腐などがよく知られていますが、
今回取り上げる豆腐は「ゆし豆腐」。
沖縄ではとても愛されているのに、全国的にあまり知られていない
この「ゆし豆腐」。
一体どんなお豆腐なんでしょう。
ゆし豆腐を簡単に説明すると、
豆乳に塩とにがりを入れ、枠に入れて固める前のやわらか~い、おぼろ状の豆腐のこと。
ゆし豆腐を固めたものがいわゆる「島豆腐」です。
沖縄で広く愛されている「ゆし豆腐」のなかでも
特別ふわふわ、とろとろ、クリーミーな食感で人気の
「宇那志豆腐店」の製造の現場に潜入しました。
創業昭和60年。宇那志豆腐店 二代目店主 大城光さんに
お話をうかがうことができました。
豆腐の作り方は、10時間水につけた大豆をミキサーにかけることから始まります。
そして、地釜と呼ばれる大きな釜に、生絞りの大豆の汁を移します。
ここで火力をあげ、豆乳の濃度を調整することで、クリーミーな味わいに。
1時間ほどていねいにアクをとりながら炊きあげます。
焦げる寸前の火力で、加熱することで、甘みと独特の風味がうまれます。
これは「地釜製法」という、沖縄ならではの美味しい豆腐の秘密です。
次に、にがりと塩を加えていきます。
にがりをいれると、豆乳はだんだん固まってきます。
豆腐の柔らかさは、にがりを打つ高さ、かき混ぜ方、温度調節などで
全く違うものになるそうです。
このゆっくりと凝固させていく混ぜ方が美味しさの秘密。
まさに熟練の技!
「ふわふわ」「とろとろ」のゆし豆腐は、塩味がついているので、
あつあつのまま食べるのが一番。
塩味がついているので、そのまま食べると
まるでスープのような美味しさ!
豆腐のふわふわ食感と絶妙な甘み。
するするっと何杯も食べることができそう。
このゆし豆腐を固めたものが木綿豆腐になりますが、
これまた、柔らか、クリーミーで、すご~く美味しい!
この豆腐で作ったチャンプルーは絶品。
ゆし豆腐は出来立てが一番。
アツアツの状態で、すぐに出荷されます。
沖縄の豆腐はスーパーなどで「温かいまま」販売されています。
豆腐を買う時に、どのくらい熱いかを確かめてから買う人がほとんど。
これは「あちこーこー(=あつあつできたて)」と呼ばれ、
島人(しまんちゅ)の食卓で昔から愛されている独特の食べ方。
豆腐は冷たいという、固定概念を打ち砕かれますが、
この新鮮さが美味しい豆腐の理由なんです。
ゆし豆富は、そのままはもちろん、ごはんと一緒に食べるのもおすすめです。
地元では、だしを入れたり、スンドゥブ鍋に入れたり、
といろんな食べ方があるそうです。
また、沖縄そばとゆし豆腐が一緒になった「ゆしどうふそば」
という麺類もあります。
ゆしどうふそば専門店「わらいそば」では、
基本の「ゆし豆富そば」や「ゆし豆富定食」をはじめ、
「坦々ゆし豆富まぜそば」「麻婆つけ麺」など、
バリエーションに富んだメニューがズラリとありました。
とにかく、どれも美味しい!
この美味しさを、もっと広く伝えたい!そんな思いを抱えた若き社長、
尾崎俊平さんの紹介をここでしないわけにはいきません。
尾崎社長は、有限会社尾崎食品の代表取締役。
島原を拠点に、豆腐製品を販売しています。
尾崎社長と、宇那志豆腐店の出会いについては、
ロングインタビューをご用意しておりますので、動画でご覧ください。
うみんちゅーの町糸満市が育んだ
宇那志豆腐店の「ゆし豆腐」。
一人でも多くの人にこの美味しさを、
そして沖縄の貴重な食文化を知ってもらいたい。
そんな思いで九州探検隊は活動を続けていきます。